英語編では、大学受験英語にどのように対処すべきか、なぜ当社の家庭教師の活用が有効であるかを記します。
※家庭教師派遣エリア:東京・横浜・神奈川・埼玉・千葉他の首都圏全域・大阪・名古屋・福岡・札幌他全国(スカイプ・LINE授業では全国はもちろん、世界中の
生徒さんに対応しています)。
※下掲の数学編も併せてご覧ください。
当社には大学受験専門のプロ家庭教師が多数在籍しており、生徒さんの「
習熟度」や「性格」、「学校やご家庭の環境」に応じた世界でたった一つの(各生徒さん
にとって最適な)授業を実施しています。
こちらでご紹介しているメソッドは当社のプロ家庭教師が駆使する大学合
格プログラムの一例ですが、志望大学を目指す生徒さんや保護者様はもちろん、大学再受
験を目指す社会人の方の一助になれば幸いです。当社では強引な営業活動は一切しており
ませんので、詳細をお知りになりたい場合は安心して「お問合せフォーム」または電話に
てお問合せください。
それでは大学受験の「英語編」として当社のプロ家庭教師のメソッド(一
例)をご紹介いたします。
長文の内容・テーマ・出典は多岐にわたりますが、英語の学習は長文対策
として速読技術(だけ)を真っ先にマスターすればよい、ということになります。しかし
事はそれほど簡単ではありません。
長文読解には、文法・語法、特殊構文、単語、イディオム・熟語といった
知識と、それらの知識を相互に関連させ、自在に使いこなす技術が必要となってくるから
です。また、実際の入試問題では、制限時間・記述式か選択式か・大問や小問の数・長文
の語数や頻出テーマ・英作文の有無・配点等が大学ごとに異なり、さらに年度ごとに変化
することもあるため、特定の傾向や特徴を絶対視して一般化するにも限界があります。
結局は、どのような問題が出ても対応できる基礎学力の修得と、大学
ごとの個別対策実戦演習が、英語学習の大きな柱となるわけです。 英語のみならず語学の勉強法には大きくわけて2つあります。それは「頭でわかる」ことと「体で感じる」こ
とです。前者は、文法等の理論や法則を理解・修得し、これらを応用していく方法です。
後者は、語学学習にふさわしい環境で豊富な経験を積むことによって、言葉の感性を自然
に育んでいく方法です。留学や帰国子女が後者の代表例です。
ここで大切なことは、この2つは両方とも必要であるということです。「頭」ではわかっ
ていても「体」で自然に反応できなければ、受験の場では使い物になりません。 他方で、「頭」を通すことなく何となく「体」で覚えているだけという場合も、受験の場で確実
な答えを安定的に導き出すことはできません。
また、この両者のバランスは、人によって微妙に異なります。限りある受験勉強期間に、
しかも日本で帰国子女と同じ環境をつくることはできませんし、同じ人でも実力・時期に
応じて必要なバランスが微妙に異なります。自分は今どのようなバランスで勉強を進めた
らいいのか、適宜判断していかなければなりません。 そしてさらに大切なことは、最終的にはこの2つを統合しなければならないということです。頭で理解したことも、経験で
培ったことも、ともに粘り強い「実践(書く・読む・聞く・話す)」によって体にしみ込
ませていく、このようなプロセスを経ないと受験の場で使える実戦的能力は身につきませ
ん。一般に、英語の学力を伸ばすのに時間がかかるのは、この実践プロセスの負担(時間
的・精神的)によるところが大きいといえます。
基礎演習においては、どのような問題が出ても対応できる、いわば「幹細胞」のような知識と技術の体系を身につけることを目的とします。
具体的には、単語・イディオム(熟語)・文法・語法・特殊構文・解釈(精読)・長文読
解・英作文・リスニングといった知識や技術です。 ここで注意していただきたいのは、これらの各知識や技術は別個に存在しているわけではないということです。それは受験の
現場を想像していただければわかります。 「英語」という教科は存在しても、「文法」、「解釈」という科目はありません。これらはすべて「英語」を構成する一つの要素にす
ぎず、相互に関連しあって英語を形づくっているのです。
この点、予備校等のカリキュラムでは、「文法語法」・「解釈(精読)」といった英語科
目がずらりと並んでいます。確かに、項目ごとに個別に分解して学習した方が、効率がい
いのも事実です。しかし、これらの知識や技術を相互に関連させて英文の読解や作文につ
なげていかなければ、実際の入試ではまったく対応できません。 せっかく修得した英語の知識や技術も瞬時に、自在に使いこなす総合力がなければ、実戦的な場面では何の役に
も立たないのです。
特に予備校においては、個別に分解した方がカリキュラムを組みやすいという専ら予備校
側の経営上の事情があるため、このような総合力の養成の視点を欠いていることが往々に
してあります。 各英語科目で講師が異なり、それぞれ別の(相互に関連性がない)教え方をされて混乱する、という悩みを抱える受験生を毎年のように目にします。
家庭教師アルファ・ネクサスのプロ家庭教師は、英語学習において、このバラバラになっ
ている「個」から「全体へ」という総合的な視点を持つポイントを解説し、実戦的な授業
を実施していきます。 身につけるべき知識や技術の量が膨大であるゆえ、生徒さんにとってこの視点がいっそう重要になります。 また、このような視点があれば、「全体から個へ」という逆向きの視点をとることもできます。
俯瞰的な視点のもと個々の論点に立ち戻ることで、より習熟度を高めることができるので
す。 この視点を、さらに受験の場、つまり「実戦」の場にまで広げるとよりいっそう効果的な学習が可能です。この知識や技術で実際の入試問題を制限時間内で解けるのか、を
当社のプロ家庭教師は常に問いかけていきます。 「基礎から実戦へ」の視点です。そして、今度は実際に解くことで、不足している知識や技術を確認します。これが「実戦から
基礎へ」の視点です。 この双方向の運動の繰り返しを各生徒さんの習熟度に応じて行うことによって、学習効率は高まり、学力は徐々に増進していくのです。 当社のプロ家庭教師なら、上記の諸問題を解決します。 当社は予備校には真似の出来ないメソッドを駆使し、生徒さんそれぞれの個性に合わせた授業を実施することで、多くの生徒さんを志望
大学に導いています。
ここでは、当社のプロ家庭教師が実践するメソッドの一部を個別の項目ごとにご紹介しますので、参考になさってください。 既にご説明しました通り、大学受験の英語では文法・語法、特殊構文、単語、イディオム・熟語といった知識を相互に関連させる総合的 な視点を常に意識することが重要です。
市販の単語帳の見出し語(約2、000語)程度の知識は最低限マスターしていただく必要 があります。単語は、文(センテンス)を読み解くために必要な知識と位置づけられます。ただやみくもに意味を覚えるだけではなく、その品詞や語法も併せて覚えなければ
なりません。特に「動詞」は文の骨組みである「文型」を決する最大の要素ですので、重
点的に覚えていただく必要があります。
悩みが多いのは、その覚え方です。書く・読む・聞く・語源をたどる・接
頭辞や接尾辞をヒントにする・ゴロ合わせ等、自分に(または当該単語に)合った覚え方
を選んでください。この際のポイントは、「反復・継続」のしやすさです。
単語帳の選定も、自分に合ったものを選ぶことで「反復・継続」につなが
ります。見やすさやチェックノート、付録CD等の付加価値で決めてもかまいません。
また、余裕のある場合は、市販の単語帳ではなく自分オリジナルの単語帳
を作るという方法もあります。日々の勉強で出あった単語をリストアップして意味・品詞
・発音・アクセントといった必要な情報をノートにまとめていくのです。
注意してほしいのは、専ら長文の中だけで単語を覚えようとしないことで
す。この場合、実際は「文脈」を覚えているだけにすぎないのに、当該単語を覚えたつも
りになっている錯覚に陥る危険性があります。同じ単語でも、他の文脈では思い出せない
、といったことがよくあるのです。
市販の熟語集の見出し語(約1、000項目)は最低限覚えるようにしておく必要があります。熟語集の選定は、単語と同様です。 「イディオム・熟語」は、構成する個々の単語の意味を単純に組み合わせるだけではその意味が類推しにくいフレーズのことです。い
わば、「1+1」が「2」にならず、「3」になるわけです。したがって、何とかして「
3」に近づける努力をすれば覚えやすく、かつ忘れにくくなります。
その際ポイントとなるのは、構成要素となる「基本動詞(have・get・take・make等)」と「前置詞(副詞)」です。
これらは、本来とても深い意味を持つものなのですが、あまりにも多用される為、それ自
体が持つ深い意味がかえりみられることはあまりありません。イディオム・熟語の学習に
おいて、これらの基本単語の深い意味を押さえておくと、ただの「1」が、「1」以外に
見えてきて、結果として合計が「3」に近づいていきます。
take A for granted「Aを当然と考える」を例にとりましょう。 takeは「とる」が本来の
意味です。「とる」は、「発言を悪くとる」のように「考える」に発展します。他方、forの本来の意味は「方向」ですが、「ゴールには到達しない」点がtoと異なります。ゴールに向かっているのに「到達しない」、それならば到達するために「何でもする」に発展
します。「何でもする」は、「何でもあげる(交換)」とさらに発展します。「ゴール=
B」とおくと、for Bは「Bの代わりに→Bとして」の意味を持つことになります。
以上のことを、take A for grantedにあてはめると、「Aをgrantedとして考える」になり
、grantedは「(権威者に)認められた」の意味ですから、「Aを認められたものと考える
→Aを当然と考える」にたどりつきます。 また、「比喩」を意識すると覚えやすいものもあります。
例えば、beat around the bushは「遠まわしに言う」という意味のイディオムですが、そ
の直訳は「茂みの周りをたたく」です。ここから、「茂みの周りをたたいて、中に隠れた
獲物を追いたてる」という場面を具体的に想像してみてください。そのうえでこの場面が
象徴するものを裏側に探っていくと、事物を「直接的に」ではなく、「その周りから間接
的」に攻めていく、という意味にたどりつくことができます。豊かな想像力と発想の柔ら
かさがものを言うイディオムです。 さらに、イディオム・熟語に省略や倒置が含まれている場合は、省略や倒置をされる前の本来の形に戻して考えると理解しやすくなります。
例えば、make believe that節は「~のふりをする」という意味のイディオムですが、もともとはmake people believe
that節「~を人に信じさせる」が本来の形でした。「~を人に信じ込ませ
る」と「~のふりをする」とは意味内容上重なっています。このmake people
believe that節のうちpeopleを省略して、make believe that節というイディオムができあがったというわけです。
「文法」は、文(センテンス)の中で語・句・節を相互につなぎ合わせる際の「法則」です。英語学習の中では最も体系化されていて、一度理解すると頭はすっきりします。
しかし、体系の本質を見誤るとかえって混乱してしまうおそれがあります。 その本質とは、「文法は文をわかるための道具」であるということです。そして「文をわかる」とは
「文型」の原則を中心にした「文構造」を読み取るということ、つまり、「文型」が文法 学習の核となるわけです。
そのうえで、文型を形づくる「動詞・準動詞」、文型を複雑に重ね合わせる構造をとる「
従位接続詞・関係詞・間接疑問文」、文型の形を崩す、変形する「等位接続詞(共通関係
)・同格・挿入・省略・倒置・受動文」の各単元を優先的に学習していくことになります
。
文法は、何かと理屈っぽい世界です。人の身体にたとえるならば、文法は、文という体の 「骨・神経」に当たることになります。表皮からは見えない抽象的な世界なのですが、骨
をきちんと組み立てて神経を通さないと、体は動きませんし、すぐ崩れ落ちてしまいます 。他方で、きちんと体系化されれば、単語・イディオム・熟語といった肉をつけかえるこ
とで無限の応用が可能になります。「文型」を念頭に置きつつ、各単元を相互にリンクさ せることを常に意識して理解・修得してください。 ただし、「例外」が多い理論体系であるというのも事実です。数学や物理のようにはいかず、「1を知って10を知る」といっ
た程度です。この点が、語学の語学たる所以。この不足は「実践」によって補っていくし かありません。
また語法は、文法よりさらにやっかいです。「法則」というより、「整理
棚」を作っているようなイメージを持って下さい。そのうえで、中身は自分でひとつずつ
丁寧にたたんで入れていく。これもまた「実践」によって肉付けされていくしかないので
す。
「構文」という受験用語は多義的です。ここでは、特殊な文構造を持った文(センテンス)と定義します。具体的には、「強調構文」「クジラの公式構文」等、いわば、「文
の形をした熟語」のようなものと思ってください。
構文学習の中心は、これら基本英文を暗記・暗唱することにあります。具体的には、対応 和文を読んで(聞いて)瞬時に英文を言えるようにしましょう。
「文」を覚えるのは、単語やイディオム・熟語を覚えるよりかなりたいへんと思われがちです。しかし実際は、 文の裏にある「骨・神経」を意識して、「肉」をつけているだけ。つまり、文法・語法を
わかったうえで、単語・イディオム・熟語を組み替えている、そのようなイメージを持つ とよいでしょう。
単語・イディオム・熟語・文法・語法といった基礎知識をすべてマスター すれば(=自由に相互リンクできるほど使いこなせるまでになれば)、それほどの負担に
はなりません。逆に、負担に感じるならば、基礎知識のどれかがまだ不完全であるという 証明にもなります。 このように、構文学習はかなり高度なレベルに位置づけられますが、「文
」という完成形を理解、暗記しておくことは、「文」の集合体である「パラグラフ(段落 )」、「パッセージ(文章)」を陥落させる最大の武器となります。さらに、「文」を発
信する「英作文」でも絶大な威力を発揮します。 特殊構文はなるべく多く理解、暗記するに越したことはありません。基礎 レベルでは、「80~150文」程度掲載された市販の構文集からスタートするのがよいでしょう。
ここでは「解釈」という用語を用います。これを「構文」と呼称したり、「精読」、「短文解析」と称する場合もありますが、内容はみな同じです。
「解釈」とは、単語・イディオム・熟語・文法・語法・特殊構文といった基礎知識と文の
意味・文の前後の文脈を用いて、文(センテンス)を「読む」「訳する」技術をいいます
。いわば個別に得た基礎知識を、相互に関連させて同時に使いこなすテクニックでもあり
ます。
近年の私立大学入試では和訳問題の相対的地位が低下しているとも言えま
す。したが って、「訳する」技術といっても、実際は「読む」技術の確認も兼ねていることは否定で
きません。そういった意味で、「解釈」の学習において中心となるのは、
「読む」技術と なります。
英文に対して、日本語を一切介さず英語として読む技術です。そして、その技 術の究極の目標は、「速度と精確性の両立」にあります。
以下の例文をご覧ください。
① The girl called Rinko into the house.
② The girl called Rinko was walking in the street.
①②は、ともに文頭から途中までまったく同じ単語が並んでいるのですが、その部分全体の
文法的位置づけは①と②とで異なります。 この違いを、文の中のいったいどの地点(時点)において最初に見極められるのかでしょうか。「速度」を求めるなら、なるべく先に目
や耳に入る左の方でわかりたいのですが、これら例文では単語の並びが途中までまったく
同じなので、それも限界がありそうです。
それなら、きちんと最後(ピリオド)まで読んで「精確性」を実現したい、という気持ち
も働きますが、時間的制約を考えるとそれでは遅すぎます。
そこで、これら矛盾する2つの要求を満たすため、その限界地(時)を文の中で探ってい
くことになります。 その解決のキーワードは「予測」です。左から右へ英文を見た(聞いた)瞬間に「文構造」の「予測」がつくこと、つまり「この次にどの語句節がつながる
のか?」これをとらえてはじめて、「左から右へ後戻りすることなく(目や耳に入ってく
る順序で)読む」ことができるわけです。
そして、この「予測」に文法・語法的根拠を与えることによって「精確性」が保証され、
「予測」をできるだけ左(前)においてすることで「速度」が増していきます。 「文構造」の解釈では、まず「文型」を考えます。この文型の読み取りに際して、例えば、「他
動詞Vの後にはOがくる」、一歩進めて、準動詞がからむmake の第5文型なら「makeの後にA doやA doneがくる」と、予めVの地点(時点)で次にくる形を予測するのです。
また「節」においても、例えば、「従位接続詞の後には完成した文型がくる」ということ
を、左にある従位接続詞が出現した地点(時点)で強く意識します。これを「句」のレベ
ルに意識をせばめても同様です。「不定冠詞(a/an)の後には数えられる名詞の単数形が
くる」、「前置詞の後には目的語がくる」等、いずれも、左の方にある不定冠詞や前置詞
に意識を置いたうえで次を読んでいきます。 英文においては、文法上重要な情報はすべて左(前)にあります。
左(前)の語句が次にくる語句節の文法的性格を決めていくのです。 他動詞も従属節も、冠詞も前置詞も、否定語や助動詞もすべて文の左(前)にあり、逆にこれに着目するこ
とでそれ以降にある語句節の文法的性格を予測することができます。この点、日本語とは
発話の順序が逆(左右逆)になっているところが難しいところです。
日本語では、後にくる語が前の語の活用形等の文法的性格を決めていき、最終的に文の中
心となる「述語」にたどりつきます(文末決定性)。一般に、解釈を不得意とする人は、
単語を左から右へ無機的に「見る」ことしかできません。日本語では次へ次へと係るとこ
ろを後へ探していくため、それにならって英文においても後の方、後の方へと急ぎ足で読
んでしまいがちだからです。
しかし、英文の左(前)の方にある文法上の重要語句を読みとばす、また
は軽視すると、「語句節相互の(有機的)関係=文構造」が「精確に」つかめず、結局は
文頭に後戻りして何度も行ったり来たりするはめになります。
このように、解釈においては、英語と日本語のきわめてシビアな根本的相
違に直面し、その深い隔たりを乗り越えていくことが求められます。それを可能にするの
は、単語・イディオム(熟語)・文法・語法・特殊構文といった基礎知識を盤石にするこ
とと、それら知識を最も効率的に使いこなす技術体系の修得、これしかないのです。
英語の長文問題は、必ず「以下の文章を読んで、問いに答えなさい」という文言から始まります。つまり「長文」は、「文章を読む」と「問いを解く」で成り立っているので
す。「読む」ためには、これまで述べてきた知識や技術のすべてを駆使しなければなりま
せん。総合力が問われます。さらに、英文を読めても問いを「解く」ことができなければ
点を得られません。問いごとの特別な解法技術も要求されます。 長文は大問の中では最も配点が高く、学校によっては大問すべてが長文というところもあるほどです。したがっ
て、長文の出来不出来が入試英語の成績を決することになります。
そこで長文で高得点を狙う方法を考えていきましょう。まず一つは、可能な限り時間をか
けることです。制限時間内で長文問題に充てる時間をいかに捻出するかを考えます。配点
の低そうな他の大問に時間をかけない等、メリハリをつけた実戦力が必要です。しかし、
それでも限界がある場合はどうすればいいのでしょうか。
「時間」が限られているなら、「速度」を上げる、または「距離」を短くする、この2つ
しかありません。
①速度を上げる
解釈技術を修得すれば、後戻りしないで英文を「読む」ことができます。 後戻りしないというルールさえ守れば、読解の速度は下がることはありません。 後は実践を繰り返すことで、徐々に速度が上がってきます。 次に「解く」スピードを上げることを考えます。問いは各別に類型化が可能です。その類型ごとに解法を考えておきます。「解法」とは
、解答の根拠を長文中に探す手順と、解答を形にしていく技法をいいます。解法を身につ
ければ、どこから手をつけていいのか苦悶することもありません。解法の示す手順に従え
ば、自然と道が開けていくので、効率よく解答にたどりつくことができます。実は問いを
つくる作題者も、この「解法」を利用して問題をつくっています。したがって、受験生は
この解法をマスターすれば確実に解答を得ることができます。さらに、複数の類型を組み
合わせてすべての問いをつくっているので、類型ごとの解法を用意しておけば、その組み
合わせでどのような問いも解けることになります。
② 距離を短くする
「パラグラフリーディング」の方法を身につけると、長文を効率よくメリハリをつけて「
読む」ことができます。 長い文章も、ポイント(=イイタイコト)だけを押さえて、残りは端折ってしまえば短くコンパクトになります。 英語の文章では、いくつかの文(sentence)が集まって1つの思想(=イイタイコト)を表すようにしています。この単位が「パラグラフ(paragraph)」です。 そして、いくつかのパラグラフが集まって文章全体
(passage、 whole article、 composition)の思想を表します。
つまり、パラグラフは、個々の文と文章全体をつなぐ中間の単位となります。 英語の文章は、「文→パラグラフ→文章」と順々にスケールを大きくする構造をしていて、この「葉
→枝→幹」のような文章・パラグラフ構造をできるだけ守ることが、英語の文章作文では求
められています。
ということは、読む側にしてみれば、一つ一つの文を個別に見るよりその集合体であるパ
ラグラフを見る方が、効率がよいはずです。 他方で最初から文章全体を見るよりまずその構成要素であるパラグラフを見た方がとっつきやすく、楽に読めます。 従って、長文読解のためには、パラグラフを単位にした読解(パラグラフリーディング)が最も有効な
方法となるのです。パラグラフ単位でイイタイコトをつかむためには、パラグラフの持つ
特徴を利用すると有効です。 パラグラフの特徴は次のとおりです。
・各パラグラフはイイタイコトを1つだけ持つ。
・そのイイタイコトを表すために各文が有機的につながる。
・そのイイタイコトを強調するための種々の技法を用いる。
以上の3つです。
これらの各特徴を踏まえれば、各パラグラフのイイタイコトをとらえることができます。
各パラグラフのイイタイコトがつかめれば、その集まりである文章全体のイイタイコトも
つかめることになります。 各パラグラフ、そして文章全体のイイタイコトがわかるということは、長文全体の「地図」を手に入れたも同然です。どこに何が書いてあったのか、
それがどうつながってゴール(=イイタイコト)にたどりつくのか、がわかるということ
です。
これは、問いを「解く」うえで非常に役に立ちます。長い文章でも、迷うことなく当該問
いの根拠となる場所がわかるからです。 読解技術が進めば、英語の長文も(やろうと思えば)全訳が可能となります。しかし、 日本語に全訳しても、内容がさっぱりわからない文章に出会うことがあるかもしれません 。これは英語の読解力以前の問題で、そもそも筆者の想定する「スタート」地点に読み手 が立っていない場合といえます。もちろん「地図」は参考にならず、どうあがいても「ゴ ール」に到達できません。
したがって、このような場合は何とかして「スタート」地点に 立つ努力から始めなければなりません。そのためには、まずは前提知識を増やすことです 。文章において当然の前提となっている語彙・概念・用語・思想・歴史などの知識を事前 に仕入れておきます。そして、何が論点となっているのかも併せて確認しておきます。
英文を英語で読み、考える、ということは読解の最終目標です。長文を「
読む」とき、いちいち日本語に訳していては時間がいくらあっても足りなくなります。こ
れはリスニングや会話のスピードを考えればわかると思います。英語が目に入ってくる、
あるいは耳に入ってくる順序やスピードについていかなければなりません。
しかし、「解く」べき問いの中には、「日本語に訳せ」、「日本語で説明
せよ」というものがあります。選択式(マーク式)の増加とともに、このような問いの出
題数は相対的に減っていますが、大学によってはそれが逆に特徴となっているところもあ
ります。
従って、入試の英語で日本語の能力も問われる場合もある以上、日本語の
表現力、文章力も訓練する必要があります。
大学入試で出題される英作文には、整序英作文・和文英訳・自由英作文の3類型 があ ります。 整序英作文は、英文中の空所に入れるべき語句を選択させる類型(日本文あり・なしに分かれる)、和文英訳は、日本語の文章中の文または日本語の単独文を英訳させ
る類型、自由英作文は、一定のテーマと語数制限のもと英語の文章を書かせる類型です。 近年の入試では、選択式(マーク式)の導入により整序英作文を除いて英
作文の出題は減少傾向にありますが、しかし上位校では依然として出題がなされ続けてい ます。また、受験生によって、できる・できないの差が激しいので、得点差がつきやすい
項目です。「どうせ出ない」、「やってもできない」のなら費用対効果から英作文は一切 勉強しない、という受験生も多くいます。しかし英作文は、きちんとした勉強をすれば必
ず一定以上の得点を計算できる項目です。
また、きちんとやれば、対策を怠っているライバルたちに確実に大差をつけることもでき ます。 にもかかわらず英作文対策に二の足を踏む受験生が多いのは、「英作文は面倒くさい」という印象のせいだと思われます。確かに、文法や長文等の他の大問は与えられた
英文に受動的に取り組むものであるのに対し、英作文では能動的・積極的に英文に取り組 む必要があります。中でも日本語にない、または日本語では意識の薄い用法・単元がポイ
ントになります。
特に「態」・「時制」・「仮定法」・「一致」・「比較表現」・「可算名詞・不可算名詞
」・「冠詞」・「否定表現」・「名詞中心の表現」等の用法・単元は、重点的に意識、マ
スターして、能動的に使えるようにしなければなりません。しかし、能動的・積極的姿勢
といっても、何も肩肘張って構える必要はありません。整序英作文や和文英訳では、既に
得ている特殊構文の応用(語句の付け替えや構文の組み合わせ)で対応できるものがほと
んどです。
また、解釈技術をそのまま英作文にも使えば、多少難しめの英訳にも対応できます。解釈
では、単語・イディオム・熟語・文法・語法といった知識を使って、「文構造」を「読」
んでいましたが、英作文では同じ知識を使って、「文構造」を「つくる」だけでいいので
す。同様に、自由英作文にも怯むことはありません。長文でマスターした「パラグラフリ
ーディング」の手法を、「パラグラフライティング」に置き換えれば事足ります。
ただし、自由英作文においては、そもそも英訳する以前に「何を書けばいいのか」という
壁にぶちあたります。この点、与えられたテーマをきっかけに柔軟に発想を展開していく
方法を別途学ぶ必要がありますが、これは小論文にも通じる勉強です。また、市販の単語
帳には掲載されていなくとも、出題されやすいテーマに関連する概念や用語の英語表現(
単語・フレーズ)なら、予め確認、入力しておく必要もあります。
以上のように、英作文の学習においては、解釈や長文で得た知識や技術を
能動的・積極的に応用することで、逆にこれらの項目の習熟度を深めることにつながりま
す。したがって、志望大学でたとえ英作文が出題されないとしても、余裕があるのならひ
ととおり勉強してみる価値がある項目といえるでしょう。
例えばセンター試験やセンター利用入試のリスニング対策と言っても言語はあくまで音声 と一体である以上、語学学習から音声の要素を捨て去るのはきわめて不自然です。むしろ
、リスニング演習を数多く実践し、音声を経験してこれに慣れ親しんだ方が、前に述べた 「頭と体の統合」に役立ちます。できれば毎日、一定量の英文を聴くようにしましょう。
多読用の教材に付いているCDを利用するのも有効です。もっとも、一定以上 の難度の長 文は、読解の能力がなければ聴き取ることもできません。読解の実践演習とからめてリス
ニング演習もこなしていくようにしましょう。 また、発音・アクセントの問題に対しては。単語の学習時に、正しい発音・アクセントもセットで覚えることが大切
です。発音・アク セントは、発音・アクセント問題を解くときだけ意識して、それ以外の場合 は適当に流す人がいますが、それは避けてください。文法であろうが長文であろうが、英語(英単語)に接
している以上は音声(=単語の発音・アクセント)を常に意識して当然です 。 また、スペリングから発音・アクセントを推測するいくつかの法則もありますが、英語においては例外も多く絶対的ではありません。面倒なようでも必ず一語一語、発音・ア
クセントを確認していくようにしましょう。
基礎演習で得た学力を受験の場(=実戦)でも発揮できること、これができなければ受験では勝利できません。「実戦力」は受験で勝利するための不可欠な能力です。
「実戦力」とはどのようなものでしょうか?
そもそも大学受験で勝利するには、学力、体力、気力、そしてマネージメ
ント力が必要とされます。そして実戦力は、そのすべてにかかわってきます。日々の勉強
で得た学力も、受験の場で本当に使えるものでなければ価値はありません。難解な単語を
数多く覚えても、出題される見込みがなければ時間と労力の無駄ですし、確実な解法も、
複雑で時間がかかるものなら制限時間の点からは好ましくありません。
修得するべき学力は、常に実戦を基準にしてその質と量を決定していかな
ければなりません。
また、今後の人生を決する受験の場で安定的に学力を発揮できるようになるためには、多
大なストレスとプレッシャーに負けない強靭な体力と気力が必要です。
大学受験では数日間連続して受験することもめずらしくないため、体のケ アと気 力の維持が特に重要となってきます。そして、マネージメント力です。「マネージメント
力」とは、簡単に言えば「要領の良さ」のことです。限られた時間や資源 の中で、受験で 合格最低点を取るためには今何が必要で何が不要か、を瞬時に見極め、実行する能力です
。 このマネージメント力が不足している受験生は意外に多いのですが、これを身につけるために特別な対策をとっている人はほとんどいません。
「要領の悪さ」は持って生まれた性格・才能だから、といって最初から諦めている人もい ます。しかし、受験においてはその不足は決定的に不利な材料となります。そもそも不足
しているという認識すらない受験生もいて、日々ひたすら勉強しているのに、なぜか模試 や受験本番ではなかなか結果が出ないと袋小路に迷い込んでしまっているケースも多々あ
ります。 では実戦力をつけるためには、どうすればよいのでしょうか? それは、できるだけ受験本番に近い状況を想定、準備することに尽きます。
その一つが、模擬試験の受験です。模試を受けないで合格できた受験生はまずいません。
ライバルを横にして本番に近い状況で問題を解くことができる機会はたいへん貴重です。
「どうせ模試だから」と少しでも見くびると、「実戦」状況から遠ざかってしまいます。
漫然と受けることなく、目的意識を高めるようにしてください。場合によっては、体調が
悪いときにあえて受験する、わざと遅刻して受験する等、いろいろな場面を想定して受け
てみるのも手です。 それでも一定の結果が出れば、かなりの自信となります。
また、大手を中心に模試の年間スケジュールが発表されていますので、早めに確認して年
間スケジュールに役立ててください。どの模試を受験するかは、志望大学の方式や(記述
式・マーク式・センター受験)、日程間隔から決めるとよいでしょう。
そして、受験予定模試の日程から逆算して実行可能な中期的学習計画を立 てるようにしてください。 ただ、現行の模試のほとんどは、特定の大学入試だけを想定してつくられてはいません
。他学部志望者も含めた数十万人の受験生を対象にして、どの大学や学部 にも通じるクセ のない問題が出題されます。大学別模試もあるにはあるのですが、東大や京大、早大・慶
大といった大規模総合大学向けがほとんどです。 従って、特に学力に関連する実戦力をつけるためには、志望大学ごとの過去問演習をするしかありません。
既に述べたように私立大学入試では大学ごとに傾向と特徴が際立 っているため、特に過去問演習は必須です。 そして、過去問演習を素材にして自分の課題を見つけ、個々に対策を立てていきます。中でも最新年度の過去問の研究・分析は大切です。
可能ならば専門家の助けを借りて学校ごとの予想問題を作って演習すると効果は絶大です 。質・量ともに最新の過去問に近似した模擬問題を使って、制限時間内で実際に問題を解
くのです。 公表されている合格最低点等のデータに照らし合わせれば、その時点での 実際の学力と、その後の学習計画の貴重な指針となるでしょう。
当然のことながら、体力はすべての前提となる極めて重要な要素です。体力維持と体調管 理は、日常の習慣にしてください。そして、気力の充実はもっと大切です。学力がついて
くれば、気力は自信として自然に生み出されます。よって、日々学力をつけることに集中 すれば、気力の維持など問題になりません。 また、模試や過去問演習といった実戦的な経験によって気力をより充実させることもできます。実戦経験による慣れは、受験本番で
の緊張など吹き飛ばしてくれるでしょう。しかし、何かのきっかけで自信を失うこともあ りえます。その場合は、自分の目標をしっか りと見定めて、そこに意識を集中するようにしてください。
自分はなぜ大学を目指すのか、といったずっと先の未来と、そのためには
何をするべきなのか、という近い未来を具体的に想像してみてください。そこから導き出
された実現可能な目標だけを見つめていけば、自然と道が開けていくものです。
皆様の志望大学合格を心より祈念しております。
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